「轢くべきか 轢かぬべきか それが問題だ。」
皆さん、こんにちは!
第7回目の「華のゆんたくさんぽ」は
「轢くべきか 轢かぬべきか それが問題だ」をお届けします。
ある夏、私はお気に入りの裏山で、昼寝をしていました。
そこは、登山道がありますが、あまりに人が入らない為、夏の日差しを浴びてすくすくを通り越してぼうぼうと背の高さを越えて育つ野草たちが道を覆いつくすほど、元気な場所です。
突然、ガザガサと音がして鹿が顔を出しました!
バッチリと私と目があった鹿。
驚いた鹿は踵を返し元の道を戻りました。
私のいた場所は大樹の根元。
よく目を凝らすと一段下の方にけもの道がありました。
鹿さんごめんなさい、あなたの通り道だったのね…
あの、ぎょっ!とした目が忘れられない私です。
さて、そんな私はある時、ふじさんゼロゴミアクションのメンバーのロードキル調査にご一緒させて頂いた事がありました。
ロード‐キル(road kill)とは?
ロードキル 【英】Runover death
道路上で起こる野生動物の死亡事故。轢死
富士五湖近辺では、鹿のロードキルが多発しており、調査員は、現場での通報や仲間からの情報を得て、現場に赴き、適切な処理に向けての一手を打っていきます。
現場で目にした鹿の姿は無残な形に曲がり、骨が見え、カァカァとカラス達が20羽ほど集まり、美味しそうに肉を喰らう姿が印象的でした。
もし、読者の皆さんがロードキルを起こしてしまった時にする事…
それは
①野生動物をひいてしまった場合は必ず警察に連絡をする。
警察に伝えるべきこと
・動物に衝突した場所
・車両の損壊の有無及び状況
・ドライバー、同乗者の負傷の有無及び状況
・ガードレールや電柱などの損壊の有無及び状況
交通事故が起きた際、警察に報告をしない場合は道路交通法72条に反した「報告義務違反」となります。
②警察への連絡後に、道路緊急ダイヤル「#9910」にも連絡する。
③動物がまだ生きている場合は、近くの動物病院や保護施設に連絡する。
この3つのステップをおこなってください。
そんな悲しい事が起こらない為に、私たちが最大限にできること。
それは、速度制限を守り、動物達の住みかを走らせてもらっている、という気持ちを忘れないこと。
富士界隈では鹿、沖縄県のやんばる地域では絶滅危惧種ヤンバルクイナやリュウキュウヤマガメ、西表島でも絶滅危惧種のイリオモテヤマネコなど、
様々な希少動物達がロードキルの被害に遭っています。
彼らが轢かれてしまう原因は様々あるのですが、エサを求めて、山から道路まで降りてきているという事があります。
例えば、ヤンバルクイナは道路の側溝に溜まった落ち葉の中に潜むミミズを食べにやってきているのです。
私たちが、彼らの食卓の上をものすごい勢いで走っている事で生まれてしまうロードキル。
友人の性格や行動を知っていくように、彼らの生態を理解し、彼らの場所でもあるところを一緒に使っている意識こそ、私たちに求められるものではないでしょうか?
犬や猫など家畜動物に対しての保護活動は散見しますが、野生動物達とて、我らが地球の一員。その地域の住人でもあります。
一歩踏みこんだ、考える力が必要なのだなと、ロードキルの現場に遭遇するたび、思います。
未来は自動運転になる?
それなら、なおのこそ、そういった事を防ぐ叡智を使ったシステムが開発されることを祈るばかりです。
やんばるに行き、初めてヤンバルクイナが歩いて餌を探しているところを見た私。
百聞は一見にしかず。
いっそう慈愛の心が強くなったのでした。
皆さん、楽しい夏休みを!
自然への畏敬の念をどうぞお忘れなく。