「大切なひとに見せたい景色。」


みなさま、こんにちは!

コラム「華のゆんたくさんぽ」

第2回目は「大切なひとに見せたい景色」です。

自然保護活動家として、何をしていこうかと考えた時に、映像を使って、メッセージを伝えていこうと思い立ち、2020年の秋に、1作目の作品「If we’d only see-みることができれば」を創り上げた私。

得てしてそうなのですが、ひとつの作品が終わると、全てを出し切り、空っぽのすっからかんになります。

次の展開は、などとは到底考えられないぐらいに。

そんな折、ご縁があって沖縄のオキラジさん(FM85.4Mhz)で冠番組を持つことになりました。

「華みきのあしびなー」(木曜日夜9時OA)

沖縄とのご縁は、10歳の時に一度だけ、祖母に連れられて「ひめゆり学徒隊」の勉強の為に行ったきり。

ガマ体験と生き残りの方のお話、祖母から聞いた戦争の話の印象が強く、

その後、バカンスを楽しむ友人達を横目に、

「沖縄はそういう場所じゃないから遊びに行ってはいけない…」などと考えており、

沖縄を好きな気持ちと、行きたいのに、なんとく気がひけていた私が相反していました。

時を経た、不思議な導きに、これは何かあるのでは?

と自分の興味の持てる沖縄を調べるうちに、

通り一遍の「青い空、海、南国ムード溢れる沖縄」という事でない、歴史ある様々な魅力に改めて気がつきました。

中でも、八重山諸島は琉球王朝のあった沖縄本島とはまた違う歴史文化を持っており、

西表島は特に、世界自然遺産にも認定される、美しい自然の宝庫という事で心惹かれていました。

そんな折、「サステナブルな暮らし」や「SDGs 」という言葉が流行る前からの本物の実践者である、

西表島の仙人、郷土史家・伝統芸能継承者の石垣金星さんと

石垣金星さん

染織家の石垣昭子さんをご紹介いただける事になり、貴重なお話を伺う機会がありました。

石垣昭子さん

西表島にはエコツーリズム協会というものがあり、

https://www.iriomote-ea.com/

この協会はお二人が中心となって、島の方々と1994年に立ち上げたものです。

この「エコツーリズム」の観点は、

「自然保護がなんなのか」「観光とは?」と日々私が思い、様々に考えを巡らせていることを既にひとつの答えとして実践されている形でもありました。

お二人の住む祖納集落を歩き、そこの生活を垣間見、島に伝わる祭祀のたいせつさを教えていただき、それまで頭で考えていた事を目の前で見せてもらった事に、言葉にならないほど、魂が震えました。

金星さんの

「ぜったいにできないことはないから、一度も諦めたことはない。」

昭子さんの

「自然のことは、暮らしの手仕事にすべてあるから、できることからやればいい。」

というお言葉に、感銘を受けた数日となりました。

おひとりおひとり素晴らしい方々で、さらにご夫婦でもありますが、同じ方向を見て歩める同志なのだと。

偉大な先人のあたたかいお心と導きに、感謝の気持ちでいっぱいとなりました。

「叡智を受け継ぐこと、未来へ繋ぐこと」

をあらためて考えるきっかけになった数日間。

様々な土地を巡り、「今の日本の自然とそこに生きる人の関係」を探るフィールドワークに出ている私にとって、ひとつの物差しができたという旅でもありました。

この体験を経て、あらためて感じた事。

あの時の祖母の想いを確かめるすべはもうないけれど、私が関わる中にまた新しい世界が生まれていく。

それが、想いを繋ぎ生きていく事なのかもしれませんね。

「あなたの大切な人に見せたい景色は何ですか?」

伝えたい事、守りたいものがあると、ひとは強くなる。

そんな気がしています。

それでは、また!